突然ですが、本屋に行くのは好きですか?
本屋には、小説や漫画、ビジネス書、料理本、旅行ガイド、専門書など、さまざまな本が並んでいます。
読みたい本が決まっているときはもちろん、特に目的もなくふらっと立ち寄り、棚を眺めているだけでも楽しいものです。
普段は手に取らないようなジャンルの本に目が留まったり、思いがけず興味を引かれるタイトルに出会ったり、知らなかった世界が、何気なく並んでいるのが本屋の面白いところだと思います。
そんな本屋で、ふと思ったことがありました。
いったいどんな本が、どれくらい出版されているのだろう。
小説とビジネス書では、どちらが多いのか、料理や健康に関する本は、昔と比べて増えているのか。
そもそも、本にはどのような分類があって、どんな分野の本が多いのでしょう。
普段、本を選ぶときにはあまり考えないことですが、気になり始めると次々に疑問が浮かんできます。
本の歴史には、時代が映っているのではないか
もう少し考えてみると、本の出版には、その時代の社会や人々の関心が反映されているのではないかと思いました。
例えば、インターネットが一般家庭に普及し始めたころには、パソコンやインターネットの使い方を解説する本が多く出版されていたかもしれません。
近年であれば、AIやデジタル技術に関する本を目にする機会が増えたように感じます。
健康や働き方、お金、教育、暮らしについても、時代によって注目されるテーマは変わっているはずです。
もちろん、本が出版される理由はさまざまです。読者の関心だけでなく、出版社の企画や社会情勢、技術の発展など、多くの要因が関係しています。
それでも、長い年月にわたって出版されてきた本を並べてみれば、そこには何かしらの変化が見えてくるのではないでしょうか。
ある時代に多く出版された分野、次第に増えていったテーマ、いつの間にか見かけなくなった言葉。
一冊の本だけでは分からなくても、何万冊、何十万冊という本の情報をまとめて眺めれば、時代ごとの特徴が浮かび上がってくるかもしれません。
本の歴史を調べることは、社会の変化を別の角度から眺めることにもつながりそうです。
そんな思いつきが、書景を始めるきっかけになりました。
本を、一冊ずつではなく、データとして眺めてみる
本の情報は、意外なほど多く記録されています。
タイトル、著者、出版社、出版された年、内容による分類などです。
国立国会図書館では、こうした書籍の情報を「書誌データ」として整理し、公開しています。
書景では、このような公開データを活用して、本の世界を少し違った角度から眺めてみたいと考えています。
例えば、こんなことです。
- 日本では、どのような分野の本が多く出版されているのか。
- 昔と今では、出版される本の分野にどんな違いがあるのか。
- この数十年で、出版が増えた分野や減った分野はあるのか。
- 本のタイトルによく使われる言葉は、時代とともにどう変化したのか。
- ある言葉が注目され始めたのは、いつごろなのか。
こうした疑問について、実際のデータを集計し、グラフや表を使いながら紹介していく予定です。
特別に難しい分析をすることが目的ではありません。
数字をきっかけに、「そうだったんだ」「これは意外だな」「なぜだろう」と感じられるような発見を届けたいと思っています。
まずは、本の世界の全体像から
書景では、最初から細かなテーマを深掘りするのではなく、まず出版データの基本的なところから調べていく予定です。
例えば、本の分類について。
図書館では、日本十進分類法(NDC)という分類体系が広く使われています。本を内容によって分類する仕組みで、大きくは哲学、歴史、社会科学、自然科学、文学などの10分野に分かれています。
では、実際にはどの分類の本が多いのでしょうか。
そして、その割合は昔から変わらないのでしょうか。
こうした全体的な傾向が分かってくると、さらに細かな疑問も生まれてきそうです。
社会科学の本が増えているとしたら、その中では経済や教育など、どの分野が増えているのか。
自然科学や技術に関する本は、時代によってどのように変化しているのか。
一つの疑問を調べることで、また次の疑問が生まれる。そんな形で、少しずつ記事を増やしていければと考えています。
データから分かること、分からないこと
書景では、数字を扱ううえで大切にしたいことがあります。
それは、データから分かる事実と、そこから考えられることを分けるということです。
例えば、ある分野の本が増えていたとしても、それだけで「日本人の関心が高まった」と断定できるわけではありません。
出版される本の数と、実際に売れた本の数は違います。また、公開されている書誌データが、日本で出版されたすべての本を完全に網羅しているとも限りません。
数字には、その数字が生まれた背景や、集計するときの条件があります。
書景では、できるだけデータの出典や集計方法を明らかにし、数字だけが一人歩きしないようにしたいと考えています。
また、データの整理や分析、記事の制作には生成AIも活用していきます。
大量の情報から特徴を見つけたり、異なる年代のデータを比較したりするうえで、生成AIは心強い道具になります。
一方で、AIが示した内容をそのまま事実とするのではなく、元のデータを確認しながら、できる限り正確で分かりやすい記事を目指します。
本から見える、時代の風景。
「書景」という名前には、書物を通して見えてくる風景、という意味を込めています。
一冊の本には、著者の考えや物語、知識が詰まっています。
そして、数多くの本をまとめて眺めてみると、一冊ずつ読んでいるときには気づかなかった、別の風景が見えてくるかもしれません。
それは、時代によって変わる人々の興味かもしれませんし、社会の課題や新しい技術の広がりかもしれません。
もちろん、調べてみても思ったほど変化がないことや、予想とは違う結果になることもあるでしょう。
それもまた、データを調べる面白さだと思います。
本屋で知らない棚を眺めるように、少し寄り道をしながら、さまざまな出版データを見ていきたいと思っています。
まだ始まったばかりの小さなメディアですが、気になる記事があれば、ぜひのぞいてみてください。
本のデータから、どんな風景が見えてくるのでしょうか。
これから少しずつ、探していきたいと思います。
