ChatGPTが話題になってから、書店でAIの本を見かけることが増えました。
では、AIを扱った本は実際にどのくらい増えているのでしょうか。
この記事では、国立国会図書館の書誌データを使って、AIを扱った本の数を1980年代から2025年まで数えます。
あわせて、本のタイトルに使われる言葉が「人工知能」から「AI」「生成AI」へどう移ってきたかも見ていきます。
AIの本をどう数えたか
国立国会図書館の蔵書のうち、次のどれかに当てはまる図書を「AIを扱った本」として数えました。
- 本の主題を表す「件名」に「人工知能」が付いている
- 日本十進分類法(NDC)の「007.13(人工知能)」に分類されている
- 本のタイトルに「生成AI」「ChatGPT」「人工知能」のどれかがある
いくつかに当てはまる本は1冊として数え、全部で3,175冊になりました。
タイトルに「AI」とあるだけの本は、この条件では数えていません。
国立国会図書館サーチでタイトルを「AI」で検索すると、読みが同じ「愛」などの本も一緒に見つかり、AIの本と分けられないためです。
ただし、件名や分類が付いていれば「AI」というタイトルの本も数えています。
1年あたりの冊数は、1980年代の約10倍に
出版された時期ごとに、1年あたりの冊数を比べました。
1980年代から2000年代までは、1年あたり24〜29冊ほどで大きく変わりません。
2010年代に89.1冊に増え、2020〜2025年は249.0冊になりました。
1980年代(24.9冊)の約10倍です。
国立国会図書館が所蔵する図書全体の中での割合で見ても、図書1万冊あたり1980年代の2.44冊から、2020〜2025年は20.83冊に増えています。
なお、最も古いのは1969年に出版された3冊で、その中には『電子計算機と人間 : 人工知能の出現』という本がありました。
1979年以前の本は13冊と少ないため、グラフからは外しています。
1980年代にも小さな山があった
1980年代の冊数を1年ごとに見ると、1985年32冊、1986年43冊、1987年50冊、1988年48冊と増え、1987年が山でした。
1980年代は、コンピューターに専門家の知識を持たせる研究が盛んになり、のちに「第2次AIブーム」と呼ばれる時期にあたります。
1990年も47冊ありましたが、その後は減り、1993年から2009年までは、2005年(41冊)を除いて1年に16〜29冊でした。
2016年から急に増え、2023年からもう一段増えた
直近8年を1年ごとに見ます。
2015年に51冊だった本は、2016年に123冊、2017年に196冊と増え、2018年には248冊になりました。
その後はいったん減り、2021年は157冊でした。
2023年からふたたび増え、2025年は391冊で、これまでで最も多くなりました。
図書全体の冊数は近年減っているため、図書1万冊あたりで見ると伸びはさらに大きくなります。
2018年の17.52冊、2021年の12.19冊に対し、2025年は37.10冊でした。
2025年に出版された本は、書誌の記録があとから増えるため、今後この数はさらに増える可能性があります。
タイトルの言葉は「人工知能」から「AI」へ
本のタイトルにどの言葉が使われているかを、時期ごとに数えました。
1冊に複数の言葉がある場合は、「生成AI」「ChatGPT」「AI」「人工知能」の順に1つだけ数えています。
| 時期 | 人工知能 | AI | 生成AI | ChatGPT | どれもなし |
|---|---|---|---|---|---|
| 1980年代 | 127 | 38 | 0 | 0 | 84 |
| 1990年代 | 70 | 28 | 0 | 0 | 187 |
| 2000年代 | 38 | 4 | 0 | 0 | 200 |
| 2010年代 | 233 | 347 | 1 | 0 | 310 |
| 2020〜2025年 | 92 | 579 | 305 | 228 | 290 |
1980年代は「人工知能」が127冊で、「AI」の38冊を大きく上回っていました。
入れ替わったのは2010年代の後半です。
2016年は「人工知能」59冊・「AI」23冊でしたが、2018年には「人工知能」47冊・「AI」125冊と逆転しました。
2025年に「人工知能」をタイトルに使った本は8冊だけです。
「どれもなし」の本には、「ディープラーニング」「機械学習」「シンギュラリティ」などの言葉をタイトルに使った本が多くありました。
2023年からは「ChatGPT」「生成AI」
「ChatGPT」と「生成AI」がタイトルに現れるのは、主に2023年からです。
| 出版年 | ChatGPT | 生成AI |
|---|---|---|
| 2023年 | 100 | 52 |
| 2024年 | 69 | 97 |
| 2025年 | 59 | 156 |
2023年は「ChatGPT」の本が100冊で中心でした。
2024年には「生成AI」が逆転し、2025年は「生成AI」が156冊、「ChatGPT」が59冊です。
特定のサービスの名前から、技術全体を指す言葉へと、タイトルの言葉が移っていることがうかがえます。
仕事や教育の本にも広がる
2016年以降のAIの本2,264冊のうち、1,476冊(65.2%)はNDCの「007(情報科学)」に分類されていました。
その次に多いのは「336(経営管理)」の127冊で、仕事でのAIの使い方を説明する本などです。
ほかにも「498(衛生学・公衆衛生)」39冊、「366(労働経済・労働問題)」33冊、「375(教育課程・学習指導)」22冊など、医療や仕事、教育の分類にも広がっています。
2023年以降の増加には、こうした本が多く含まれています。
件名「人工知能」やNDC「007.13」が付いておらず、タイトルの言葉で初めて数えられた本は、2023年87冊、2024年105冊、2025年149冊でした。
たとえば、タイトルに「ChatGPT」がある図書267冊のうち、件名「人工知能」かNDC「007.13」が付いていたのは123冊(46%)でした。
分類やタイトルを見るかぎり、AIの技術そのものを説明する本だけでなく、仕事や学習などでAIを使う方法を扱った本が増えているようです。
この数え方で拾えない本
今回の数え方では、次のような本は数えていません。
- タイトルに「AI」とあるだけで、件名「人工知能」もNDC「007.13」も付いていない本
- 件名・分類が付いておらず、タイトルにも「生成AI」「ChatGPT」「人工知能」がない本
また、「生成AI」「ChatGPT」は最近の言葉なので、タイトルで数える条件は近年の本ほど多く拾います。
件名・分類だけで数えても、1年あたりの冊数は1980年代19.9冊、2010年代83.2冊、2020〜2025年188.8冊で、増えている傾向は変わりません。
集計の条件
- データ:国立国会図書館サーチ API(SRU)で取得した「国立国会図書館蔵書」の図書の書誌データ(2026年10月28〜29日取得)
- 対象:件名「人工知能」が付いた図書、NDC「007.13」が付いた図書、本タイトルに「生成AI」「ChatGPT」「人工知能」がある図書(タイトルは全角・半角などをそろえて照合。巻の書名や内容の細目だけにある場合は除く)。重複は1冊とした
- 出版年は書誌データの出版年。出版年が分からない1冊は年ごとの集計から除いた
- 図書1万冊あたりの冊数:分母は国立国会図書館蔵書の図書の出版年別件数(2026年10月28日取得)
- タイトルの言葉は「生成AI」(「生成系AI」を含む)「ChatGPT」「AI」(前後に英字が続かないもの)「人工知能」の順に、1冊につき1つだけ数えた
- NDCは書誌データに記録された分類番号の上3桁
出典
- 国立国会図書館サーチ(https://ndlsearch.ndl.go.jp/)の書誌データ(2026年10月28〜29日取得)をもとに書景が集計・作成
- このサイトは国立国会図書館サーチのAPIを使用しています
