本から見える、時代の風景。

出版年と書誌登録年の違い 本が出てから記録されるまでの時間

出版年と書誌登録年の違い 本が出てから記録されるまでの時間

前回の記事では、国立国会図書館が記録している図書の件数を出版年ごとに数え、最近の年は件数が少なめになっていることを見ました。
これは出版そのものが減っているからなのでしょうか。それとも、新しい本の記録がまだ追いついていないからなのでしょうか。

この記事では、本が出版されてから書誌データが作られるまでに、どれくらいの時間がかかっているのかを調べます。

出版年と書誌登録年

本には「出版年」があります。奥付などに書かれている、その本が出版された年です。
一方、国立国会図書館がその本の書誌データを作るのは、本が納本されて整理されたあとです。
書誌データが作られた年を、ここでは「書誌登録年」と呼びます。

書景の記事で「2024年の本」と言うときは、出版年で数えています。
ところが、2024年に出た本の書誌がすべて2024年中に作られるとは限りません。
出版年と書誌登録年がずれれば、直近の年の件数は、あとから増えていくことになります。

使ったデータ:JAPAN/MARC週次データ

書景がふだん使っている国立国会図書館サーチのAPIには、書誌が作られた日は含まれていません。
そこで今回は、国立国会図書館が毎週公開している「JAPAN/MARC週次データ」を使いました。
その週に作成や更新が終わった書誌をまとめたファイルで、書誌ごとにデータへ最初に入力された日が記録されています。

2025年10月から2026年10月に公開された50週分のファイルから、2025年11月〜2026年8月に書誌が作られた図書97,768件を数えました。

7割は、出版から1か月後までに記録される

出版年月が分かる91,851件について、出版月から書誌が作られた月までの月数を数えました。

出版月から書誌が作られるまでの月数
出版月から書誌が作られるまでの月数 2025年11月〜2026年8月に書誌が作られた図書のうち、出版年月が分かる91,851件の割合。出典:国立国会図書館 JAPAN/MARC週次データ(2025年10月〜2026年10月提供分)をもとに書景が集計 05101520253035出版月より前: 6.7%6.7%出版月と同じ月: 39.1%39.1%1か月後: 24%24%2か月後: 5.2%5.2%3〜6か月後: 7.4%7.4%7〜12か月後: 3.5%3.5%1〜2年後: 2.5%2.5%2年より後: 11.6%11.6%出版月より前出版月と同じ月1か月後2か月後3〜6か月後7〜12か月後1〜2年後2年より後
出版月から書誌が作られるまでの月数
項目割合
出版月より前6.7%
出版月と同じ月39.1%
1か月後24%
2か月後5.2%
3〜6か月後7.4%
7〜12か月後3.5%
1〜2年後2.5%
2年より後11.6%

最も多いのは「出版月と同じ月」で39.1%、次が「1か月後」の24.0%でした。
出版月から1か月後までに、69.8%の書誌が作られています。
2か月後までに広げると74.9%です。

「出版月より前」に作られた書誌も6.7%ありました。
本に書かれた出版月より前に、書誌の入力が始まっていた本です。

年をまたいで記録される本

書誌が作られた年と出版年を比べると、同じ年のものは75.0%でした。

書誌が作られた年から見た出版年
書誌が作られた年から見た出版年 2025年11月〜2026年8月に書誌が作られた図書97,768件の割合。出版年が翌年以降・不明のもの(計1,069件)は除いて表示。出典:国立国会図書館 JAPAN/MARC週次データ(2025年10月〜2026年10月提供分)をもとに書景が集計 010203040506070出版年が同じ年: 75%75%出版年が前年: 10.3%10.3%出版年が2年以上前: 13.6%13.6%出版年が同じ年出版年が前年出版年が2年以上前
書誌が作られた年から見た出版年
項目割合
出版年が同じ年75%
出版年が前年10.3%
出版年が2年以上前13.6%

前年に出版された本が10.3%、2年以上前の本が13.6%ありました。
前年の本が特に多いのは1月です。
2026年1月に作られた書誌の36.9%は、2025年に出版された本でした。
年末に出た本の整理が、年をまたいで続いていることが分かります。

何年もたってから記録される本

出版から2年より後に書誌が作られた本は11.6%ありました。
10年以上前に出版された本だけでも5,980件あります。

その中には、次のような本がありました。

  • 同人誌即売会で頒布された冊子
  • 美術館の展覧会の図録
  • 何十年も前に刊行された全集の1冊
  • 戦前の調査機関がまとめた報告書

例を見るかぎりでは、書店で広く売られることの少ない本や、出版から時間がたってから納本・整理された本で、出版年と書誌登録年が大きく離れているようです。

だから、直近の年の件数はあとから増える

このずれは、出版年で件数を数えるときに影響します。

2025年に出版された図書のうち、9,414件は2026年に入ってから(1〜8月に)書誌が作られていました。
国立国会図書館サーチで2025年出版の図書を数えると、2026年10月28日の時点で105,382件です。
そのうちの約9%は、2026年になってから記録された計算になります。
2024年に出版された図書でも、1,637件が2026年1〜8月に記録されていました(2024年出版の図書112,862件の1.5%)。

つまり、出版年で数えた直近の件数は、時間がたつにつれて増えていきます。
前回の記事で見た「最近の年は件数が少なめ」という傾向には、出版の変化だけでなく、この記録の遅れも含まれていると考えられます。

書景での扱い方

書景では、出版年ごとの件数を比べるときに次の点に気をつけます。

  • 直近1〜2年の件数は、あとから増える可能性があるものとして扱い、記事の中でそのことを書きます
  • 件数の増減を比べるときは、記録がほぼ出そろった年を中心に見ます
  • データを取得した日を必ず記載し、新しいデータで集計し直した場合は数字を更新します

次の記事では、書景が出版物をどのように数えているのかを、ここまでの内容をふまえてまとめます。

集計の条件

  • データ:国立国会図書館 JAPAN/MARC(M/S)週次データ 50週分(2025年10月〜2026年10月公開分)
  • 対象:単行資料の文字資料(図書など)のうち、書誌がデータに最初に入力された日が2025年11月1日〜2026年8月31日のもの。同じ書誌が複数の週に含まれる場合は1件として数えた
  • 書誌が作られた日:MARCの008フィールドにある入力日。出版年:同じく008フィールドの出版年。出版年月:出版事項(260・264フィールド)の年月
  • 「出版年が翌年以降」(706件)と「不明」(363件)はグラフから除いた
  • 2025年出版の図書のうち2026年に記録された割合:分子は週次データ、分母は国立国会図書館サーチの「国立国会図書館蔵書」の図書の件数(2026年10月28日取得)で、対象の範囲は完全には一致しない

出典

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